藤井 努(ふじい・ つとむ) 富山大学附属病院 膵臓・胆道センター長です。
2017年より富山大学医学部消化器・腫瘍・総合外科教授を務め、2018年9月に、
富山大学附属病院に国内初となる膵臓・胆道センターを設立し、センター長として同分野の診療と研究の最前線を担っています。
高難度手術である膵頭十二指腸切除術の合併症を大きく減らすため「Blumgart変法縫合」という、
新しい術式を開発しました、この手法により全国から手術困難例の患者が集まります。
外科・内科・放射線・化学療法・緩和医療など複数部門が連携し、専門性とスピードを両立した治療体制を築いています。
特に「切除不能」と診断された進行膵がん患者にも新たな治療選択肢を提示し“最後の砦”とも称されています。
若手や女性医師も活躍できるチーム作りと、診療体制の分業を徹底し、働きやすい環境を構築し、
日本膵臓学会において膵癌取扱い規約検討委員や診療ガイドライン改訂委員も担っています。
藤井センター長は、「ひとつもあきらめない、最後まで患者さんと共に闘う」という姿勢を貫き、膵臓・胆道がん治療の新たな地平を切り開いています。
藤井 努(ふじい・ つとむ)医師の経歴
役職:富山大学附属病院 膵臓・胆道センター長
誕生日:1968年8月14日 生まれ
出身地:愛知県
出身高校: 愛知県立岡崎高等学校
出身大学:名古屋大学医学部
大学院:名古屋大学大学院
職歴
1993年3月に名古屋大学医学部卒業。
1993年4月に小牧市民病院(研修医)。
2000年9月に名古屋大学第二外科(医員)。
2006年3月に名古屋大学大学院 修了(学位取得)。
2006年〜2008年にマサチューセッツ総合病院(ハーバード大学、Research Fellow)。
2008年11月に名古屋大学第二外科(病院助手)。
2009年8月に同 助教。
2013年5月に同 講師。
2015年5月に同 准教授。
2017年4月に富山大学医学部 教授(消化器・腫瘍・総合外科(第二外科))。
2018年9月に富山大学附属病院、膵臓・胆道センター センター長(併任)。
本学附属病院 膵臓・胆道センターの藤井努教授がMBS(毎日放送)「情熱大陸」に出演します。
皆様、ぜひご覧ください!https://t.co/sQoF307X3i pic.twitter.com/ic0tJgUT7p— 富山大学|Univ_Toyama (@univ_toyama) July 16, 2025
富山大学附属病院の場所は!
住所:富山市杉谷2630番地
電話番号:076-434-2315(代表)
診察時間:午前8時30分~午前11時まで
※午後のご予約の方は、この時間以外でも受付可能です。
休診日:土・日・祝日・振替休日・年末年始(12月29日〜1月3日)
HP:https://www.hosp.u-toyama.ac.jp/
アクセス
富山駅より車で19分
富山駅より富山地鉄バス(4番乗り場)で30分
膵臓・胆道センターの詳細はこちら
HP:https://www.hosp.u-toyama.ac.jp/medical/pancreas/
藤井努医師による膵空腸吻合法の開発とは!
膵頭十二指腸切除術(Whipple手術)後の最大の難点は、「膵空腸吻合」による膵液瘻(すいえきろう:膵液の漏れ)などの合併症です。
膵液瘻は術後の重篤な合併症であり、従来法ではその発生率が高いことが長年の課題でした。
Blumgart変法(Nagoya method)の開発!
藤井努医師は、これらの課題に対し「Blumgart変法縫合」(Nagoya method)という新しい膵空腸吻合法を開発しました。主なポイントは以下の通りです。
●吻合部の改良
従来法(Blumgart法)は膵実質と空腸漿膜筋層を水平マットレス縫合で固定しますが、藤井医師は「必要最低限の針数」で密着度を高める改良を加え、
正常な膵臓では最大3針、萎縮膵では1針のみとすることで、侵襲を最小化しました。
●術後合併症の低減
この手法により膵液瘻の発生率は2.5%にまで大幅に減少。全国平均と比較しても格段に安全性が高いことが示されています。
●膵断端をしっかり抑える
切断端を包み込むような縫合法により、膵液漏れを効果的に防止します。
ダブルネオベール法など新技術との連携!
さらに藤井教授は、PGA(ポリグリコール酸)シートを用いた「Double Neoveil method」など、新たな補強方法の共同開発にも携わっています。
●PGAシート補強
縫合部にPGAシートを挟み込み、フィブリン糊で固定することで縫合の強度と密着性を向上させる先進技術も評価されています。
●多施設共同試験
日韓共同の無作為化比較試験でPGAシート使用の有用性と安全性を検証中。
医学界・臨床現場へのインパクト!
●日本国内外でこの藤井式膵空腸吻合法(Blumgart変法)は急速に普及し、多くの施設で採用されています。
●合併症のリスクを大きく減らし、手術困難例への適応範囲も拡大。
●GUIDELINE(診療ガイドライン)改訂委員も務め、標準治療の進化に大きく貢献しています。
まとめ
藤井努医師による新たな膵空腸吻合法の開発は、膵頭十二指腸切除術における手術成績を大きく改善し、
膵液瘻をはじめとする合併症発生リスクを劇的に低下させました。
この技術革新が、多くの患者の生命と QOL 向上に結び付いています。