鳥海修(とりのうみ・ おさむ)書体設計士、字游工房設立者の1人で、第2代代表取締役、文字塾塾長、京都精華大学特任教授、武蔵野美術大学非常勤講師です。
1989年には字游工房の設立に参加し、同社の游明朝体や游ゴシック体、SCREENホールディングスのヒラギノシリーズ、
こぶりなゴシックなど、ベーシックな書体を中心に100書体以上の開発に携わってきました。
鳥海さんの代表作であるヒラギノ明朝体は、スティーブ・ジョブズから「Cool!」と評価され、ヒラギノゴシック体はiPhoneの表示にも使用されています。
書体設計の哲学として、鳥海さんは「水のような、空気のような」書体を目指し、いつの時代も読みやすく、飽きられず、美しい書体の制作に取り組んでいます。
特に本文書体に強いこだわりを持ち、「日本人にとって文字は水であり米である」という考えに基づいて、ベーシック書体の制作に高いモチベーションを持ち続けています。
現在、鳥海さんは私塾「松本文字塾」の塾長を務めるほか、著書『文字をつくる仕事』(晶文社)や『本をつくる 書体設計、
活版印刷、手製本』を執筆するなど、後進の育成や書体設計の知識の普及にも尽力しています。
鳥海修(とりのうみ・ おさむ)さんの経歴
職業:書体設計士、字游工房設立者の1人で、第2代代表取締役、文字塾塾長、京都精華大学特任教授、武蔵野美術大学非常勤講師
誕生日:1955年3月13日生まれ
出身地:山形県遊佐町
出身高校:酒田工業高校(現・酒田光陵高校)機械科
出身大学:多摩美術大学ラフィックデザイン学科
1975年に多摩美術大学グラフィックデザイン学科に在学中、文字デザインのゼミで、
毎日新聞社東京本社でフォント製作課を見学。
活字の元になる原字のレタリングを目の当たりにする。
案内役を務めた小塚昌彦氏が「日本人にとって文字は水であり、米である」との言葉に郷里の風景を重ね、書体制作の道に進むことを志す。
1979年に写研入社。
埼玉工場(和光市)の文字部原字課に配属される。
入社10年目の頃に退職。
1989年に有限会社字游工房を設立。
1990年に大日本スクリーン製造(当時)のヒラギノシリーズ制作を受託。
1996年に自社ブランド游書体ライブラリー最初の書体として游明朝体の制作に着手。
2019年3月に字游工房がモリサワの傘下に入った後、同月末をもって社長を退任。
2012年から「文字塾」を主宰し、現在は「松本文字塾」で明朝体の仮名の作り方を指導。
長野県安曇野市に移住し2022年から私塾「松本文字塾」をスタートさせる。
受賞歴
第1回 佐藤敬之輔賞(2002年)
グッドデザイン賞(2005年)
東京TDC タイプデザイン賞(2008年)
第65回 日本エッセイスト・クラブ賞(2017年)
第58回 吉川英治文化賞(2024年)
鳥海修さんの著書!
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これってMacの標準フォントちゃうん。
“ふるさと納税に「ヒラギノフォント」登場、京都市の返礼品に基本6書体パック”〜「ヒラギノ角ゴシック体 W3/W6/W8」「ヒラギノ丸ゴシック体 W4」「ヒラギノ明朝体 W3/W6」 https://t.co/aUob8zh4xr pic.twitter.com/MszbePKqHE— よいやん (@yoiosaka) September 5, 2023
スティーブ・ジョブズがヒラギノ明朝体を選んだ理由は!
スティーブ・ジョブズ氏がヒラギノ明朝体を選んだ理由は、その書体が持つ「現代的でシャープな表情」と「伝統的な筆文字の美しさ」が融合したデザインにあります。
ヒラギノ明朝体は、広告見出しから書籍本文まで幅広い用途に対応できるオールマイティな書体であり、
豊富なウェイト(太さ)バリエーションと仮名書体との組み合わせによって、多様な表現が可能です。
さらに、ヒラギノ明朝体は「水のような、空気のような」ふつうの書体を目指して設計されており、個性を抑えつつも普遍的で違和感なく受け入れられるデザインが特徴です。
この特性が、Apple製品の洗練されたイメージと一致したため、スティーブ・ジョブズ氏はこの書体を選びました。
2000年のMac OS X発表時、ジョブズは幕張メッセでヒラギノ明朝体W6の「愛」という漢字をスクリーンに映し、
「Cool!」と評価しました。
この瞬間は、ヒラギノフォントの認知度を大きく高める契機となりました。